大腸内視鏡検査

大腸カメラについて 

大腸カメラについて

予約が必要です(電話予約可)。検査についての具体的な説明や、血液検査が必要ですので検査日前までに一度は来院していただく必要があります。当院 では検査中にポリープを発見した場合、 極力その場で切除するようにしています。ポリープ切除後は安全性を考慮して、原則として1-2泊入院していただいております。ご了承ください。心臓疾患や 脳卒 中等の既往がある方などに多いですが、血液をサラサラにするお薬(ワーファリン、アスピリン、パナルジン、エパデール、プレタール等)を服用中の方は、お 薬を中断していただく必要がありますので事前にお知らせください。中断不可の場合はポリープ切除はできませんが、観察のみなら可能です。

大 腸カメラはきつい、痛い、苦しいといったイメージがあると思いますが、当院では大腸カメラ挿入時に余分な空気をほとんど入れず、大腸をほとんど伸ばすこ となく直線化して挿入する方法を行っていますので大きな苦痛なく検査を行っています(全ての患者様で可能なわけではありません)。少量の鎮静剤を使用する ことで、更に楽にリラックスして受けていただけます。

他の医療機関できつくて大腸の奥までカメラが入らなかったというような方でも、当院で最後まで検査できたケースも多くあります。まずはお任せください。(癒着がひどくて苦痛があまりにも強い場合などは決して無理はしません)

大腸カメラの検査の流れ

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(1)検査前日より準備が必要です。前日の食事は海藻類、きのこ類、繊維の多い野菜・穀物は控えて、白米や麺類を中心とした消化の良いものを食べてくださ い。夜には下剤(センノサイド2錠)をのみます。便秘がひどい場合は下剤を追加したり、便を軟らかくするお薬(酸化マグネシウム)を追加でのんでいただく こともあります。

(2)検査当日午前中に約2リットルの下剤を飲んで腸内を洗浄します。便が透明になるまでトイレに通います。便が透明になれば検査ができる状態です。

(3)検査は午後に行います。検査の前に検査着に着替えていただきます。その後、点滴をとります。検査直前に少量の鎮静剤、腸の動きを抑えるお薬を静脈注射(点滴のラインから)および筋肉注射します。注射後、検査開始します。

(4)検査後はしばらくベッドで休んでいただきます。

(5)最後に写真画面をみながら検査結果を説明いたします。ポリープ切除された場合は1-2泊の入院となります。

(6)ポリープ切除された場合や生検(組織をつまみ取ること)を行った場合、切除されたポリープや生検についての詳しい説明は一週間後に行います。

当院での大腸内視鏡症例1

陥凹型早期大腸癌

陥凹型早期大腸癌

60代女性。便潜血検査陽性。8mm程度の粘膜癌です。内視鏡での切除で完全切除できました。腺腫部分がなく、腺腫の過程を経ない癌と考えられました。この型の癌はポリープ型に比べ発見が難しく、悪性度が高い傾向があります。

早期大腸癌 

早期大腸癌

70代男性。便通異常。1cm程度の平皿様の隆起性病変です。内視鏡治療で完全摘出できました。

有茎性大腸ポリープ(腺腫内癌)

有茎性大腸ポリープ(腺腫内癌)

30代男性。便潜血陽性。太い茎を有する大きなポリープです。大部分は腺腫ですが、一部に癌化がみられました。完全切除できました。

側方発育型腫瘍(腺腫内癌)

側方発育型腫瘍(腺腫内癌)

70代男性。大腸ポリープ切除の既往があり検査希望。2cm弱の水平に広がるタイプのポリープです。大部分は腺腫ですが一部に癌細胞をみとめました。完全切除できました。

若年性ポリープ

若年性ポリープ

20代男性。血便。有茎性の大きなポリープです。通常みられる腺腫性ポリープと違い、大きくなっても癌化することはまずありませんが、出血したり、腸閉塞や腸重積の原因となるため、切除する必要があります。

当院での大腸内視鏡症例2

ポイツ・イェガース症候群

ポイツ・イェガース症候群

40代女性。手術予定あり、術前の精査目的で当院紹介。回腸末端に有茎性の巨大な腫瘤を認めました。口唇、足底に色素沈着がみられ、ポイツ・イェガース症 候群が疑われました。皮膚粘膜の色素沈着と食道を除く全消化管の多発性ポリープを合併する遺伝性疾患です。しばしば癌化するため、ポリープは切除が必要で す。手術予定の病院で確定診断され、ポリープも外科的に切除されました。

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎

60代男性。粘血便。大腸粘膜に炎症が起こり、びらん、潰瘍を形成し、粘液便、血便を排出する原因不明の疾患です。厚労省指定の特定疾患です。30歳以下の発症が多いですが、50歳以上にもみられます。直腸に始まり、悪化すると深部結腸に広がる傾向があります。この患者さんは直腸に限局しており、炎症を抑 える坐薬を使用して良好に経過しています。

クローン病

クローン病

20代男性。腹痛、下痢、食欲不振、微熱、体重減少。回腸の縦走潰瘍(写真左上)、びらん、結腸の縦列傾向のある多発性びらん(写真右下)が認められ、ク ローン病を強く疑い、専門医療機関へ紹介、確定診断に至りました。主として10~20代の若年者に発症する原因不明の慢性炎症性腸疾患です。口腔から肛門 まで消化管のいずれの部位にも病変を生じうること、しばしば狭窄や瘻孔を伴うことが特徴です。厚労省指定の特定疾患です。

アメーバ腸炎

アメーバ腸炎

30代男性。粘血便。直腸に不整形の潰瘍が多発し、じわじわと出血もみられます。赤痢アメーバとういう病原微生物の感染によって起こります。1年以上の病悩期間がありましたが、当院で確定診断がつきました。現在、治癒しています。

大腸憩室出血

大腸憩室出血

70代男性。血便(新鮮血)。緊急内視鏡を行ったところ、大腸憩室からの出血を認め(写真左上)、クリッピングにて止血しました(写真右下)。大腸憩室とは大腸壁の一部が袋状に外側に突出したものです。腸管内からみると穴ぼこにみえます。加齢とともに頻度が増えます。無症状のことが多いですが、時に炎症や出血を起こします。便通異常、腹部不快感、腹部膨満感がでることもあります。